在宅療養をしている方や、通院が難しい高齢者の方にとって「訪問マッサージ」は心強い支えになります。
しかし、「費用はいくらかかるの?」「保険は使えるの?」といった疑問を感じる方も多いでしょう。
近年では、訪問マッサージの効果や安全性を示す臨床研究(りんしょうけんきゅう)も進み、制度としての信頼性が高まっています。
この記事では、訪問マッサージの費用・保険制度・臨床研究の視点から、利用を検討する方にわかりやすく解説します。
訪問マッサージの料金は、「自費で利用する場合」と「医療保険を使う場合」で大きく異なります。
自費での訪問マッサージは、1回あたり 3,000〜6,000円程度 が一般的です。
時間は30〜60分ほどで、施術内容や距離によって料金が変わります。
整体やリラクゼーションと違い、国家資格者(あん摩マッサージ指圧師)が行う場合は、身体機能の維持・改善を目的とした医療行為にあたります。
- メリット:医師の同意書が不要で、すぐに利用できる
- デメリット:継続利用の場合、費用負担が大きくなる
訪問マッサージは、医師の同意があれば健康保険(医療保険)を使って利用できます。
自己負担は原則として 1割〜3割。
たとえば、1回あたりの費用が2,000円でも、1割負担なら約200円前後で受けられます。
- 1回あたりの自己負担目安
- 1割負担:約200〜400円
- 2割負担:約400〜800円
- 3割負担:約600〜1,200円
交通費も保険内で算定されるため、距離による追加料金が抑えられます。
訪問マッサージが保険適用となるためには、「医師の同意書」が必要です。
医療保険でマッサージを行うには、単なるリラクゼーションではなく、治療目的であることが前提です。
そのため、主治医が「筋麻痺(きんまひ)」「関節拘縮(こうしゅく)」など、身体の機能に支障があると認めた場合にのみ、同意書を発行します。
この同意書は、原則6か月ごとに更新が必要です。
つまり、継続的に医師の診察を受けながら、医学的な根拠に基づいたマッサージが受けられるという安心感があります。
介護保険では、デイサービスやリハビリテーションなどが利用できますが、訪問マッサージは医療保険の対象です。
混同されがちですが、両方を併用することも可能です。
| 比較項目 | 医療保険(訪問マッサージ) | 介護保険(デイサービス等) |
|---|---|---|
| 対象者 | 医師が治療を必要と認めた方 | 要支援・要介護認定を受けた方 |
| 費用負担 | 1〜3割 | 1〜2割 |
| 主な目的 | 機能回復・維持 | 日常生活支援・予防 |
| 同意書 | 医師の同意が必要 | 不要(ケアプランによる) |
訪問マッサージの有効性は、複数の臨床研究によって裏付けられています。
たとえば、脳梗塞後遺症やパーキンソン病の方に対するマッサージ介入では、筋緊張の緩和や歩行能力の改善が報告されています。
また、高齢者の慢性痛に対しても、定期的なマッサージが疼痛(とうつう)の軽減や睡眠の質の改善に寄与するという研究成果があります。
このように、医療的エビデンス(科学的根拠)に基づいた施術であることが、訪問マッサージの信頼性を高めています。
訪問マッサージを始めるまでの手順は、想像以上にシンプルです。
- 相談・問い合わせ
まずは訪問マッサージ事業所に連絡します。体の状態や希望を伝えると、制度の説明や無料体験の案内を受けられます。 - 医師の同意書を取得
主治医に相談し、「訪問マッサージに関する同意書」を発行してもらいます。事業所が代行してくれるケースもあります。 - 施術者の訪問・体験
国家資格者(あん摩マッサージ指圧師)が訪問し、症状や目標に合わせて施術を行います。 - 定期的な施術開始
週1〜3回など、無理のないペースで継続します。再同意時期(6か月)には、医師と連携しながらプランを調整します。
訪問マッサージは、医療保険を使えば1回数百円から利用できる安心の制度です。
しかも、臨床研究により機能回復や疼痛緩和の効果が明らかにされており、単なる慰安ではなく医学的根拠に基づいたケアとして信頼されています。
- 自費利用:3,000〜6,000円程度
- 医療保険利用:1割負担なら約200円前後
- 医師の同意書で保険適用が可能
訪問マッサージは、通院が難しい方にとって「自宅で安心して受けられる医療サービス」です。
初めての方は、まず無料体験や相談を利用して、身体に合う施術かどうかを確かめてみましょう。
専門家と一緒に、快適な在宅生活への一歩を踏み出せます。

